泣いていたのは、僕だった。


―隆side―




「――隆、どうしたんですか?ぼーっとして」



コーヒーの入ったマグカップを俺の前に差しだし、創が俺の顔をのぞき込んだ。



「あ、悪ぃ。考え事」
「らしくないですね。何かありましたか?」
「いや、別に…」


1ヶ月前から俺は創と共に、古林 真司という男の家に居候している。



「つーか、お前らいつまでここに居るわけ?」


この生意気なガキは神木 翔一。
俺達と出会う前から古林の家に居候している。


正直、真司と翔一に関してはあまり知らない。


知っていることは、この家の居心地がいいことだけ。


そもそも居候しようと思ったのも、面白そうだと思ったからだ。



「ケチケチすんなよ、ガキ」
「むっかつく!真司、お前も迷惑だって言ってやれよ!!」


真司は俺以上のヘビースモーカーだ。
今だって煙草をふかしている。


「まぁいいんじゃないかな。賑やかで。あ、創くん僕にもコーヒー」



相変わらずマイペースな奴だ。


「ほらな。真司もああ言ってんだ。仲良くしよーぜ、お子様」
「むっかつく!マジむっかつく!!」



翔一を相手にするのは正直面白い。
俺が失ってしまった率直さをコイツは持っている。



「あ、真司。携帯が鳴っていますよ」


創から携帯を手渡された真司は、煙草を消し、電話に出た。



「はーい、古林です。なんだ、皆保警部か」



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