泣いていたのは、僕だった。
警察署前に車を止め、待つこと30分。
ようやく茶封筒を片手に翔一が戻ってきた。
「おせーぞ。」
「仕方ねぇじゃん。皆保のおっちゃん話なげーし。だいたいなんで隆は来なかったんだよ?」
「あー…俺あの人苦手なの。」
皆保警部。
あの人のおかげで創は助かったようなもんだけど…
どうも苦手だ。
真司もそうだが、皆保警部も何を考えてるのかさっぱりだ。
あのタイプとはどうも上手い付き合い方が分からない。
「で、資料貰えたか?」
「ん、これ」
差し出された茶封筒を受け取り、中身を出す。
中には男の写真一枚と、詳細が書かれた紙。
「後藤 宏(ゴトウ ヒロ)、35歳。バツイチ。空き巣常習犯。1ヶ月前空き巣に入った先で初めての殺人。その後、5件もの殺人を繰り返す、か。」
「最後の事件なんて一家皆殺しだぜ。マジさいてー。」
「にしても、こんぐらいの事件なら警察だけで充分だろ。」
「他の事件追ってて忙しいんだってさ。」
翔一は肩を竦めた。
「とりあえず後藤の潜伏先まで行ってみようぜ。」
資料に書かれた住所を頼りに、俺は車を走らせた。