泣いていたのは、僕だった。




「前に言ってましたよね。真司と翔一は仲間じゃないって。どういう意味ですか?」


ずっと聞きたかった。

支え合っているようで、そうじゃない二人のアンバランスな関係。



「そのままの意味だよ。いつか翔一は僕を殺す。」
「………。」


何の冗談だと喉まできて飲み込んだ。

冗談なんかじゃないと、なぜだか感じたから。


「いつか僕は翔一に殺される。」


どうして……


この人はこんなに嬉しそうなんだろう?


「なんですか、それは」
「そういう約束だよ。契約ってほうがピッタリかもね。」
「アナタを殺すことがですか?」
「そーだよ。それまで翔一は僕のモノ。所有物なんだ。」
「どうしてですか?」
「拾ったからだよ。僕が」


二本目の煙草を消して、真司はコーヒーを一口飲んだ。


「一年前にね、拾ったんだ。あれは雨の日だったかな?視界がぼやけてたし。煙草が切れてね。買いに行った帰り、路地裏で拾ったんだ。」



真司はまるで捨て猫を拾った話をするように、軽い口調で話していく。


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