泣いていたのは、僕だった。
結局俺達は、
「翔一兄ちゃん、飴あげる!」
「さんきゅー!苺味じゃん」
絢音を連れて行くことにした。
犯罪者と一緒に子供を置いていけない、と翔一が一歩も引かなかったからだ。
「しっかし…五時間粘って姿見せねーとはな。」
「隆、一旦帰ろうぜ。絢音も眠そうだし。」
後部座席を覗けば、コクリコクリとうなだれている絢音。
「仕方ねぇな。」
俺は片道40分の距離を再び車で走り出した。