泣いていたのは、僕だった。
side翔一
―翔一side―
すやすや眠る絢音。
そのベッドの横で俺は椅子に腰掛けた。
真司が言おうとしていることは何となく分かる。
でも………
やっぱり、
「……ほっとけないじゃん。」
背のドアが音を立てて開いた。
振り向かなくても足音で分かる。
ちょっと足を引きずるような歩き方、真司だ。
「はい、コーヒー」
ホットコーヒーの入ったマグカップを背後から差し出され、俺は無言で受け取る。
「…翔一、分かってると思うけど」
「うん……。分かってるよ。俺達みたいな半端な奴が、未来ある子供を育てちゃダメだもんな。」
「この子のことは皆保警部に頼んでおくよ。」
「…ん。」
ぽん、と頭の上に真司の手が乗せられた。