泣いていたのは、僕だった。
「――いつか翔一にも子供が出来るかもしれない。それまでに僕を殺して、半端者を卒業しないとね。」
その手は二、三回頭を撫で、真司は部屋を出ていった。
「…変な奴………」
撫でられた箇所が、何故だかあったかく感じた。
それは不思議な感覚で…
ちょっとくすぐったくなった。
半端……か。
一度命を捨てた俺は……
半端以外の何でもないよな。
「…ん……おとー……さ、ん」
寝返りを打って、呟かれたのは『お父さん』。
こんなに慕ってくれてるのに、どうして後藤は……。
「絢音、ごめんな。俺はもしかしたらお前の父さんを…」
夢を見続けるその顔に、俺は謝罪の言葉を囁いた。