泣いていたのは、僕だった。
side隆
―隆side―
俺は翔一が閉じこもった部屋のドアの前に立ち、
「半端者ね。」
中から出てきた真司に語りかけた。
「立ち聞きなんて、いい趣味とは言えないね。」
「そりゃどうも。…確かに俺達は半端な奴らだよな。」
「うん。だからここにいるんだろう?君も、創くんも。」
「ふっ、ちげーねーや。」
ちょっと笑って、煙草を取り出した真司に尋ねた。
「なぁ、お前も?」
「……さぁ。でも、僕は……半端者ですらない。」
俺も煙草を取り出して、真司が差し出した火に近づけた。
「明日は僕も後藤の家に行くよ。」
「やる気でも出たのか?」
「そんな所かな。じゃあ明日ね。おやすみ」
「…おう」
真司は何を考えて生きているんだろう。
何を思って生きているんだろう。
俺は今日も……
あの夢を見るのだろう。