泣いていたのは、僕だった。





高峰グループはいくつかの組織に分かれていて、それぞれに頭格がいる。

ソイツらを取り締まっているのが高峰グループのトップ。


問題はそのトップ様がどこにいるか、ってことだ。


真司は煙草を吸いながら、資料と睨めっこ。


「真司、どうする?ターゲットがどこにいるか分からないんじゃ話にならない」
「大体の場所は検討つくよ。」


さらっと真司は言う。


「マジ?え、なんで?」


真司は資料をテーブルの上に広げ、淡々と解説を始めた。



「まず取引が行われた場所に注目。」


同封してあった地図に罰印が記されていく。


「次に高峰グループのアジトがある場所。」


今度は丸印。


「なんか気付かない?」
「………あ、」



5つあるアジトの中で一つだけ、そのアジト周辺では取引が行われていなかった。



「ね、分かったでしょ?」
「なーるほど!って、んなわけあるか!!こんな分かりやすいはずないだろうが!!例えそうだとしても絶対罠だね!」
「いーじゃない。」



真司は少し口元を歪めた。



「罠に引っかかってあげても。」



俺は知っている。


真司にとって、この掃除屋という仕事は


――ゲームなんだって。




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