泣いていたのは、僕だった。
side真司
―真司side―
取引の目印、赤い紙袋を引っさげて路地裏を歩く。
暫くして黒いパーカーを来た男が近付いてきた。
「新顔だな。一口これでどうだ?」
男は指を一本突き立てた。
「せっかくだけど取引しに来た訳じゃないんだ。高峰グループのトップ様。名前は確か高峰 宏人(タカミネ ヒロト)さんだったっけ?」
「へぇ……よく分かったな。」
「僕、勘が良い方なんで。」
高峰は距離を取るように、二、三歩下がる。
「お前何もんだ?」
「さぁ?俗に言う掃除屋ってやつかな。」
「随分ふざけた野郎だな。」
「よく言われる。」
僕の携帯の着信音が鳴った。
「ちょっと失礼。はいはい」
『こちら敵アジト五つ目ー!とりあえず全滅させといた。』
「ご苦労様。こっちもそろそろ片付くよ。皆保警部に連絡よろしく」
電話を切って、代わりに銃を取り出す。
「てことでお宅らのアジト、僕の相棒が壊滅させたみたい。どう?大人しく捕まる?」
「ふっ……はははは。お前いや、お前らなかなかのやり手だな。そして面白い。」
「そりゃどうも。」
銃の引き金に手をかけた。