泣いていたのは、僕だった。
――暗闇から目を覚ましたのは、携帯の着信がうるさかったからだ。
後頭部にまだ傷みが残っている。
「やられたなぁ……」
当然、高峰の姿はなかった。
ま、逃げられるはずはないでしょ。
他のアジトは壊滅。
皆保警部にも連絡いってるだろうし。
逃げられるはずは……。
ここにきて、あの第六感が再び僕を襲う。
慌てて鳴り続いていた携帯を取った。
『真司!やっと出たか。』
「千明、無事?」
『あったりまえだろ!そりゃこっちの台詞だし』
「ごめん、ごめん。無事ならいいんだ。」
やっぱり予感は予感か。
当たるものじゃないな。
『ったく心配したんだぜ?携帯出ねーし、いきなり高峰がこっち現れるし。』
「え…………」
もしかしたら第六感は本当に存在するのかもしれない。
だとしたら、
『真司が逃すなんて珍しいじゃん。ま、俺に任せろって』
「ダメだ、千明!!」
神様はなんて残酷なモノをお与えになったんだろう。
『え?』
――銃声と爆発音を最後に電話は切れた。