泣いていたのは、僕だった。



―翔一side―



「皆さん、準備は良いですね?」


いつになく真剣な創の声。

俺も真司も隆もゆっくり頷いた。


各々片手を差し出して円を作る。


「勝負は一回きりです。」



創は息を吐き出し、そして――。


「じゃんけん――ぽん!」



差し出された手はパーが2、グーが2と真っ二つに分かれた。


勝ったのは俺と真司。


「やりー!ってことで創と隆が買い出しな!!」
「しょうがないですね。」


真剣勝負は誰が夕飯の買い出しに行くか、と言うもの。


隆はため息をついた。


「あー…くそ。めんどくせーな。」
「隆くん、タバコもよろしく。」
「へいへい。」


ダルそうに隆は立ち上がった。

創も財布を片手に立ち上がり、二人そろって家を出ていった。


「さーてと、ゲームでもすっかな。」
「相手してあげようか?」
「真司じゃ弱すぎて相手になんねーよ。」



真司のゲームの腕は、驚くぐらい下手な事を俺は知っている。


真司は笑って肩を竦めた。


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