泣いていたのは、僕だった。
shde翔一
―翔一side―
真司は手にした資料と睨めっこをしながら首を傾げた。
「この辺のはずなんだけど…」
「あの路地裏ら辺じゃねーの?」
連続殺人はどれも同じ場所で起きている。
「そうかも。翔一、相手は何人も殺してるからね。油断しないように。」
「分かってるよ。」
「多分、今までで一番危ない人だよ。」
「なんだよ。知ってるのか?」
真司は問いに答えることはなく、微笑んだ。
更に追及しようとした俺の声は、銃声の音でかき消された。
「――!」
「あの路地裏で正解みたい。」
俺と真司は視線を交わし、次の瞬間には同時に走り出していた。