泣いていたのは、僕だった。
「おかえりなさい。遅かったで――どうしたんですか!?」
僕は目に飛び込んできた光景に、慌てて駆け寄った。
それは隆も同じだった。
「は、創…どうしよう!?血が止まんねえんだ」
玄関では翔一が真司を支えるようにして立っていた。
ぐったりとしたその様子から、顔は見えない。
ポタポタと血が流れている所を見るとかなりの重傷だ。
「一体何があったんです?」
「俺のせいなんだ。真司が俺を庇(かば)って…」
「庇った?真司が?」
隣で隆が驚た顔をして、“マジかよ”と呟いた。
「とにかく手当てをしましょう。隆、翔一と一緒に真司をベッドへ」
「分かった。」
確か救急箱があったはず。
僕は戸棚にしまってあった埃被った救急箱を手に、ベッドへと急いだ。