泣いていたのは、僕だった。



「おかえりなさい。遅かったで――どうしたんですか!?」


僕は目に飛び込んできた光景に、慌てて駆け寄った。
それは隆も同じだった。



「は、創…どうしよう!?血が止まんねえんだ」


玄関では翔一が真司を支えるようにして立っていた。

ぐったりとしたその様子から、顔は見えない。


ポタポタと血が流れている所を見るとかなりの重傷だ。


「一体何があったんです?」
「俺のせいなんだ。真司が俺を庇(かば)って…」
「庇った?真司が?」


隣で隆が驚た顔をして、“マジかよ”と呟いた。


「とにかく手当てをしましょう。隆、翔一と一緒に真司をベッドへ」
「分かった。」



確か救急箱があったはず。


僕は戸棚にしまってあった埃被った救急箱を手に、ベッドへと急いだ。




< 80 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop