泣いていたのは、僕だった。
「あー、グダグダ言ってんじゃねーよ。ガキはガキらしくしてろっての」
痺れを切らしたように隆が口を開いた。
「てめーが責任感じたってな、コイツの怪我が治る訳じゃねーんだ。いつまでも、めそめそすんな!」
言い方はぶっきらぼうだけれど、隆なりの精一杯の優しさなんだろう。
翔一は両手を握り締め、
「………ん」
と頷いた。
「真司の体に障りますから、向こうの部屋に行きましょう。翔一、詳しく話聞かせてもらいますよ。」
「……わかった。」
目覚める気配のない真司を残し、僕達は部屋を出た。
退出する直前に見た彼は、もしかしたらこのまま目覚めないのかもしれない、と錯覚するほど深い眠りに入っていた。