泣いていたのは、僕だった。
side翔一
―翔一side―
真司の怪我は俺のせいだ。
だからせめて、今回の仕事は俺がやり切らないと。
「あんま肩に力入れんな。俺だっていんだからよ。」
隆が俺の頭を小突く。
「ん。さんきゅ」
普段はムカつくけど、こういう時は良い奴だなって思う。
俺達は皆保のおっちゃんに捜査を依頼して、乃南の潜伏するアパートを捜索してもらった。
その場所は目と鼻の先。
「しっかし、相手は相当の手練れだろ?無事に済む気がしねぇな。」
「……それは大丈夫だよ。乃南の奴も重傷のはずだから。真司が乃南と同時に二発撃ったんだ。」
一発は銃を弾き、もう一発は乃南の右肩に貫通した。
「乃南は利き腕が使えないはずだ。」
「なるほどな。真司の奴やっぱただじゃやられねーよな。」
隆が声を立てて笑う。
俺も釣られて笑った。
「隆、俺が乃南を殺る。」
「俺がやってもいいんだぜ?」
「いや、俺がやる。」
やれやれと隆は溜め息。
「好きにすればいいさ。」
今まで人を殺したことはない。
知らず知らずのうちに、俺は真司に守られていたのかもしれない。
でもそれじゃ嫌だ。
嫌なんだ。
俺は真司に守られたいわけじゃないんだ。