泣いていたのは、僕だった。
俺も隆も数秒の間、その場で立ち尽くし、そしてゆっくりと振り返った。
ドアに寄りかかる一人の男の姿。
右手には煙が上がる黒い銃が握られている。
「――真司!」
「お前、起き上がって大丈夫なのかよ?」
俺と隆は慌てて駆け寄る。
近づいた俺たちに
「うーん…ダメかも。」
と笑って、覆い被さってきた。
「おい!?真司!?真司!」
「……落ち着けよ、翔一。寝てるだけみてぇだ。」
「なんだ……よかった。」
顔をのぞき込む。
すごい汗だ。
寝てればよかったのに。
俺はまた………
――コイツに守られた。
「翔一、皆保って奴に連絡して帰ろうぜ。腹減った。」
「うん………」
俺は皆保のおっちゃんに連絡をいれ、死体処理を任せ、アパートを後にした。
最後に見た乃南の顔は満足げだった。