泣いていたのは、僕だった。
話している間にも暴れ続ける翔一を抑えようと隆くんが近づいたけれど、物凄い力で吹き飛ばされた。
「痛っ……おい真司!何とかしろ!!」
「簡単に言うね。ま、何とかするけどさ。」
暴れる片腕を掴む。
振り解こうとする翔一のもう片方の腕が、腹部の傷に直撃する。
走る痛みに眉を寄せたが、構わず翔一の体を力一杯引き寄せた。
「嫌だ、止めろ……嫌だ、嫌だ、嫌だぁぁぁ!」
「翔一、落ち着いて。」
「もう嫌だ……どうせなら殺してくれよぉ……っ!」
「翔一!ここに君を傷つける奴はいないよ。」
子供に話しかけるように語りかけてやると、翔一は大人しくなった。
「誰も傷つけたりしないから。」
頭を撫でてやると翔一は安堵したように、腕に落ちてきた。
呑気に寝息を立てている。
「落ち着いたか?」
「何とかね。全く……困ったものだね。」