泣いていたのは、僕だった。
side翔一
―翔一side―
終わることない苦痛。
生きるこの世は、俺にとって地獄だ。
――地獄だった。
「翔一……良かった。」
目が覚めると、一番に飛び込んできたのは創の顔だった。
「大丈夫ですか?」
「ん。……夢見てた。」
「夢、ですか。」
「あんま覚えてねーけど。なんか嫌な夢だった。」
昔は夢を見ている方が幸せだった。
夢を見たまま一生目覚めなければいいのにと思ってた。
「創、隆や真司には内緒にしてくれよ?」
「はい。なんですか?」
「俺さ、昔生きることが怖かったんだ。早く死んでしまいたいって思ってた。」
「…………」
「でも今は、ちょっとだけ……本当にちょっとだけ死ぬのが怖い。生きることが楽しいって思えてる。」