覆面レスラー少女H
しかし、あれあれと言う感じで高橋君のパンチが何度も私の顔面を捉えた。
見えているが、片目が切れて見えないせいで微妙に距離間が分からないのに気付いた。
私は、少し大きめに動作を変えて高橋君のパンチを避けた。
高橋君は、パンチからキックキックからパンチとコンビネーションをつけ始めた。
これには、私も参った。
私のパンチやキックは、高橋君にほとんど届かなかった。
身長差と高橋君が上手い距離間で戦っているからだ。
口の中が切れてつばを吐くとマットが赤く染まった。
マウスピースを吐き出しそうだったが我慢した。
マスクが血で濡れてドロドロのような気がしたが、ここまで来たら負けられなかった。
高橋君だって私が中途半端な形で負けたら嫌なはずだと思う。
何よりここまで来たら三十万円が欲しかった。
だが、このままだと高橋君に蹴られ殴られ負けてしまう。
私は、高橋君の懐に入り胴に腕を回した。