覆面レスラー少女H
九州力と山尾の関係は、複雑な気がした。
九州力が、一方的に悪いわけでは無くて山尾とのすれ違いや周りの思惑に二人が振り回されたのだろうと思えた。
もしかすると、九州力は、山尾が、いつか挑戦して来ると分かってたのかも知れないとさえ思えた。
「だけど、山尾さんは、それだけの実力者だったのに何故今は、こういう地方団体でやってるの?」
私は、素朴な疑問をミスター金にぶつけてみた。
「それは、う~ん怪我が最初のきっかけかな。
膝をやってしまって手術をしてしばらく出れなかったんだよ。
それと業界自体に嫌気が差したって事が最大の理由かもな。」
ミスター金が言いにくそうに話した。
膝の怪我?山尾は、確かにいつも右膝にサポーターかテーピングをしていた。
「膝の怪我は、完治してないんですか?」
高橋君も初めて聞いたようで少し驚いていた。
「完治しないよ。ごまかしごまかしやってるよ。
正座がまともに出来ないんだからな。
だけど、言うなよ。」