覆面レスラー少女H

真日本プロレスとは、恐れ入った。




この団体に入る前から私みたいなか弱い女の子でも知っていた日本最大のメジャー団体だ。




あの、アントン猪木が創始者の団体だ。



「だけど、なんで辞めたの?」




私は、素朴な疑問を高橋君にぷつけた。



「う~ん。噂だけどね。

いわゆるシュートをやってしまって相手選手をボコボコにしちゃったらしいよ。」




「シュートって真剣勝負の事でしょう。
今は、あんなにショーだって言ってんのになんでそんな事をしたんだろう。」




「はっきり分からないけど、当時若手に格闘技志向の奴がいたらしくてそいつがシュートを仕掛けて来たからやり返したらしいんだけど、それが、半端じゃなかったらしくて悪役覆面レスラーのイメージが壊れたらしいよ。


会社も若手の方を庇ったみたいでそれで辞めたみたいだよ。

あの人がやたらにショーだって言いたがるのは、嫌だけどその頃の反動があるんじゃないかな。


今でも、他のメジャー団体から誘いがあるらしいよ。

四十二歳なのに凄いね。」




高橋君は、遠くを見る目で言った。



< 15 / 270 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop