消えない、消せない
何も
彼女の告白があまりにも突然すぎて、俺は彼女の一言を理解できずにいた。
「わたし、もうすぐ死んじゃうんだ。」
現実味の無い、嘘のような言葉。耳に馴染まずサラサラと空間を流れ落ちていったその言葉を、俺は「冗談だろう?」と小さく呟いて笑った。
相変わらず彼女は唐突に物を言う。久しぶりに会えたと思ったら、いきなり心臓に悪い冗談を挨拶がわりにかましてくるなんて。
世の中には吐いていい嘘と吐いてはいけない嘘があるんだと苦笑いで返そうと思い顔を上げれば、彼女の表情は真剣そのもので。
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