消えない、消せない
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彼女は俺の初恋だった。明るい性格で面倒見の良い姐御気質のしっかり者。普段は何でもそつなくこなすのだが、ふとした瞬間にとんでもない天然具合をさらす。
完璧すぎず駄目すぎず、真面目すぎず不真面目すぎず。
素敵すぎて誰もが目で追っていた彼女は、幸運にも俺に一等興味を持ってくれていた。
俺が遊び盛りの高校生男子にしては珍しく、誰もが手に取るのをためらう辞書のように分厚い長編小説や、それとは全く正反対のロックミュージックが好きだった事を彼女はなぜか知っていたのだ。
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