マスカレードに誘われて

「もしもの事があったために、地下室から十字架を取って来て欲しいって頼まれたんだ」

「どなたにですか?」

「グランド公だよ」

「……」

キースが黙り込む。
ロイは顎に手を当て、小さく呟いた。

「それで僕らはホールから出た訳なんだけど……何か、追い出されたように感じたんだよね」

「なるほど……」

「まるで、今まで起きたことを全部背負っていきなさいと言わんばかりにさ」

「それで、お二人は地下室へと向かったわけですね」

キースの言葉にロイが頷く。
キースは眉間に手を当て、深い溜め息をついた。

< 102 / 164 >

この作品をシェア

pagetop