マスカレードに誘われて

「だとしたら、イヴは……」

「恐らく、ホールにいるでしょう」

「今宵の騒ぎを鎮めるための生け贄として……」

駄目だと言わんばかりに首を振る。
嫌な考えばかり浮かんでくる。

それでも、何故かこの嫌な考えを否定できる材料は見当たらなかった。

「イヴが危ない……!」

「ホールへ戻りましょう!!」

二人は顔を見合わせると、一つ頷き走り出した。



廊下を走る走る。
先程とは違う理由で、足を動かす。

キースの持っている蝋燭の炎が揺れ、今にも消えそうだ。
それでも構わずに走る。

角を曲がり、中央ホールへ出てくる。
真ん中に伸びる階段を上がれば、舞踏会会場へ着く。

< 104 / 164 >

この作品をシェア

pagetop