マスカレードに誘われて

キース・ローラントは、代々ホーキング家に使えている、ローラント家の息子である。
小さい頃からロイ、イヴと共に育ってきたので、遠慮も容赦も無い。

二人より、歳は少し上。
仕事をそつなくこなし、ロイに剣術も教えている。

灰色の髪の綺麗な青年の左耳には、ホーキング家の家紋が入ったピアスが光っている。
仕える者の鏡として、彼に相応しい。

彼はイヴを部屋に送り届けると、ロイの部屋へ直行した。

「何でそんなに難しい顔してるのさ?」

椅子に座るロイに紅茶を淹れながら、キースが答える。

「今日は本当に人手が足りないんです。下手な行動をされますと、今夜のパーティーに支障が生じます」

「そうなの?」

「ええ。そろそろロイ様も準備を致しませんと、間に合いません」

「そっか……」

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