マスカレードに誘われて
理由と事情
重い扉が開く。
今まで騒がしかったホールの中が、水を打ったように静まり返る。
多種多様の仮面をつけた人々が顔を寄せ合い、静かに話す。
「あら、あの子達仮面をつけていないわ」
「服装からして恐らく、あっちのマントの子がロイ君だろうね」
「悪魔の子」
「嫌だわ」
仮面から覗く双眸。
わざとロイに聞こえるように言う陰口。
この場の空気全てがロイの心を射抜く。
そして、何よりも彼をどん底へ落としたのは、ホールにいたイヴの存在だった。
「……」
言葉も出ない。
思考回路が追い付かない。
少し遅れて入ってきたキースが後ろで息を呑むのが分かった。