マスカレードに誘われて
確かにイヴはそこにいた。
そして、彼等が探し求めていた十字架もそこにあった。
「イヴ!!」
やっとの事で、声を出す。
イヴは、礼拝堂にあったと思われる十字架に縛り付けられていた。
ロイの声に反応し、彼女は項垂れていた頭をゆっくりと上げる。
「ロイ……?」
掠れた微かな声が、ロイの耳に届く。
イヴの綺麗な青い瞳も、今は虚ろに彼を見つめるだけ。
彼女はそれだけ発すると、再び下を向いてしまった。
「そんな……イヴ!!」
イヴに駆け寄ろうとするロイの背中に、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「意外と早かったね」
「……」