マスカレードに誘われて
無言で振り向く。
彼は仮面の上からでも分かるような、満面の笑みを浮かべた。
「おかえり、ロイ」
「……どういう了見ですか、グランド公」
声が震える。
ロイは眉を寄せ、グランド公を思い切り睨む。
対して彼は、大して反省する気もなく、ロイの方へ歩みを寄せた。
「何でもないよ。別に」
「この状況が何でもないと言う言葉で説明出来るのですか!?」
「出来るよ。この場にいるお客様に対してだったらね」
「……」
「何と言ったって、悪夢を止めるのが主催者の役目。こうなることは、必然的だったのではないのかな?」