マスカレードに誘われて

グランド公はロイの後ろにいる人物に目を向けた。

「君の妹も、ね」

「……」

グランド公の視線に流され、ロイも後ろを振り向く。
キースは何も言わず、無表情のままグランド公を見つめ返していた。

「キースの妹、悪魔の子だったの?」

ロイの問い掛けに、キースがこくりと頷く。
顔には感情どころか、生気すら感じられない。
まるで、死刑執行の宣告を受けた囚人のように。

「キースの妹も、本来なら殺される筈の存在だった。だけど、私の要望で生かしておいてもらっていたんだ」

「グランド公の?」

「そう。悪夢は追い払うことが出来るのかと言うね。彼女は普段、ホーキング家の地下の牢獄の中にいる」

「嘘……」

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