マスカレードに誘われて

ロイが絶句する。
キースは何も言わず、唇を噛み締めながらグランド公の話を聞いていた。

「悪魔の子と言われただけで、迫害されてしまう。こうすることは、一種の優しさでもあったんだ。
彼女が日を見れるのは、10月31日だけ。悪夢を追い払い、また元いた場所に戻っていく。これが彼女だよ」

「……」

「そんな生活を続けていたせいか、彼女の心は壊れてしまったようだがね」

「そんな……」

どうしてこんなことが赦されるのだろうか。
全く理解できない。

首を振るロイをよそに、グランド公の独白は続いていく。

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