マスカレードに誘われて
ロイが神妙に頷く。
それを見たキースは、近くにいた侍女にロイの正装を用意するよう言った。
そして、彼は懐から手帳を取り出す。
「今から、今夜の事について説明致します。一回で覚えてください」
「い、一回で!?」
紅茶を飲もうとしたロイの手が止まる。
キースは頷き、手帳を捲った。
「何度も説明している暇はございません。私も、まだまだ仕事が残っておりますので」
「そうか……あ、イヴには伝えなくて大丈夫なの?」
「ええ。イヴ様の方には、私の妹が臨時で当たっておりますので」
「妹?」
ロイが訝しげに聞き返す。
彼の言葉を受け、キースはにっこりと微笑んだ。
「ええ。心配はございません。
ただ、とある能力について、一難ありますが……彼女なら上手い具合にやってくれるでしょう」