マスカレードに誘われて

「キースがいないことをいいことに、私は自分の目的を果たすことにした。
君達に地下室に十字架があると言い、封印を解除させる」

「……」

「全ては策略のうち。もう用は済んだ。後は、この騒ぎを抑えるだけだ」

「……」

ロイが奥歯を噛み締める。
全てグランド公の掌で踊らされていたと言うわけだ。
それも、彼にとっては滑稽な喜劇に過ぎない。

「まぁ、一つ心が痛むとすれば……ジェームズには悪いことをしたね」

「父様にも、何かしたんですかっ?」

「本当に君達の父親はいい人だよ。私を必死で止めようとしたのだから」

何を言いたいのか分からない。
それでも、嫌な汗が滲み出てくる。

「だから、計画を邪魔させないためにちょっと眠ってもらっているよ」

「なっ……」

ロイの目が見開かれる。
対して、グランド公の目は細くなるばかり。

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