マスカレードに誘われて
「ロイ、君はこんなことをして許されると思っているのかね?」
「……思っていません。しかし、貴殿方がやっている事を止める権利くらいあると思います」
「……」
グランド公は残念そうに息を払うと、付けていたマントと仮面を取り払った。
そして、十字架の後ろに立て掛けてあった剣を掴む。
「君はもう少し、物分かりのいい子だと思っていたよ」
「何とでも言ってください。でも僕は……僕は、貴方を許すことができない!!」
ロイもマントを取ると、剣を構えてグランド公と向く。
しかし、当の本人は嘆息するばかりだった。
「これだから、君は分かっていないんだよ」
「どういう――」
意味を訊かずとも、彼は瞬時に理解した。