マスカレードに誘われて

幾つもの仮面が、何人もの人が、一斉にロイを見つめていた。
突き刺さるような視線を浴びているロイを取り囲むように、舞踏会に参加している男達が剣の鋒を彼に向けていた。

「何度も言うけど、君は悪魔の子なんだ。私達がおかしいのではない。君が異端分子なんだ。つまり……」

グランド公は口角を上げると、円の中心にいるロイを指差した。

「君がいくら助けを求めようとも、ここに君の味方はいない。誰一人としてね」

頭から水を被せられたように、ロイの顔から血の気が引いていく。
元々白かった顔が、更に色を無くしていく。

彼を見つめる、二つの穴。
仮面から見え隠れする、咎めるような、忌み嫌うような鋭いもの。

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