マスカレードに誘われて

ロイの目が見開く。

『キースの耳にその紋章がある限り、僕は君を信頼し続けるし、絶対に見捨てないから』

彼は顔を上げ、キースを見上げる。
剣を携えた執事は、いつも以上に紫色の目を鋭くし、グランド公を見据えていた。

「主従を超えた、熱い友情か。いいね、そう言うのも」

グランド公が手を叩き、発言を茶化す。
彼がキースに歩み寄ろうとすると、人混みが退いて道を作る。

「だけど、そんなことをして許されると思っているのかね?」

「ええ。別に、私は貴殿に仕えているわけではございません。ですから、貴殿の命令に従う必要も無いと思います」

< 125 / 164 >

この作品をシェア

pagetop