マスカレードに誘われて
*
イヴの部屋。
椅子に座り、紅茶を注がれるのをじっと見つめながら、イヴが不思議そうな顔をする。
「何か、こんな扱い受けるの慣れてないから緊張するなぁ……」
「そう言わずに、もっと気を楽になさってください」
そう言って、笑いながら侍女は彼女に紅茶を差し出す。
イヴは紅茶を一口啜ると、顔を綻ばせた。
「美味しい!わたし、こんなに美味しい紅茶を飲んだの、初めてだわ!」
「ありがとうございます。この茶葉は、上流階級の貴族しか口にすることができないものですよ」
「そうなんだ……」
少し悲しそうな顔をする。
それを見た侍女は、慌てて頭を下げた。
「申し訳ございません!無礼な事を言ってしまって……」
「大丈夫よ。何も気に病むことなんか無いわ」
「そうですか……」
「だから、そろそろ準備をしましょう」
困惑している侍女に向かって、イヴは優しく微笑んだ。