マスカレードに誘われて
「彼女を解放したところで、悪夢は終わらない。それに、彼女一人の命で百人の命が救われるんだ」
「そうやって"彼等"の意見も聞かずに、自分の意見を正当化して、失わなくてもいい命を奪って……こんなのが認められるなんて、どうかしています!」
「"彼等"?あの鎧が喋ったとでも言うのかね?それこそ、妄執に囚われているよ」
グランド公に押されていく。
ロイは顔を歪め、必死で阻止する。
「僕は自分が間違っているとは思っていない!それに、自分自身に誓ったんだ!」
「誓った?」
「何があっても、イヴを守るって!!」
人間相手にやるのは礼儀違反だとは思い、些か良心が痛んだが状況が状況なので仕方がない。
ロイはグランド公の足を払った。
その場に尻餅をつくグランド公を横目に、彼はイヴが磔にされている十字架へ走り寄った。