マスカレードに誘われて
残された人々。
ただ、呆然とすることしか出来ない。
人々は不安そうな面持ちでロイとイヴを見つめていた。
主催者がいなくなった以上、彼等の指示を仰ぐしかない。
「あの、わたしの話を聞いてください」
頬を紅潮させ、緊張気味にイヴが一歩前へ出る。
たくさんの目に晒され、引き下がりたいがそう言うわけにはいかない。
彼女は声を張り上げた。
「わたしは、今夜だけで人ならざる者達と沢山触れました。
廊下に飾ってある絵画が喋ったり、甲冑が動いたり。
やはり、怖かったです。今も怖いです」
騒がしかった場が、一気に静まる。
注目されることが慣れてないせいか、今すぐにでもこの場から消えてしまいたくなる。
それでも、この言葉を届けなければいけない。