マスカレードに誘われて

「これでよかったのかな?」

様子を見ながら、イヴが首をかしげる。
ロイも紫色のマントを付けながら、小さく呻いた。

「分かんない。下手したら僕達、追放されてもおかしくないかも……」

「え……」

「グランド公の件、どうしたらいいのか分かんない。このままだと、没落貴族へまっしぐらだと思う」

父に迷惑を掛けてしまった。
あの時は必死だったが、後から後悔の念が襲ってくる。

項垂れる二人の頭を誰かが軽く叩いた。
頭を押さえて振り向いてみると、そこには――

「お父様!!」

驚いたように二人が声を上げる。
ジェームズはにっこりと微笑み、二人の頭を撫でた。

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