マスカレードに誘われて
「あの……イヴ様?」
そんな和やかな雰囲気に声を掛ける。
名前を呼ばれ、イヴは振り返った。
そこには仮面を付けた青年が、この状況に戸惑いながらに立っていた。
イヴが不思議そうな顔をして尋ねる。
「何か御用かしら?」
「あの……」
青年は咳払いをすると、彼女に向かって右手を差し出す。
その手を見つめ、目を丸くするイヴ。
「僕と、踊っていただけますか?」
「は、はい!」
反射的に返事をしてしまった。
少し時間が経ってから、自分がとんでもない誘いを受けてしまったことを悟る。
彼女は慌てて手を振った。
「でもわたし、踊れなくて……」
「それなら大丈夫です。僕が助けますから」
そう言って、青年はにっこりと微笑んだ。