マスカレードに誘われて
正直、父が何を考えているのか分からない。
しかし、今は現実を受け入れるしかない。
イヴは小さくため息をついた。
「わたし、どう振る舞ったらいいのか分からない……」
「大丈夫ですよ。イヴ様なら、上手く立ち回れます」
「……本当?」
「ええ」
エリカが笑う。
笑った顔は、どこかキースと似通っている。
さすが兄妹と言ったところだろうか。
イヴは純粋に、側にいてほしいと思った。
「貴女も今夜のパーティーにいる?」
「いえ。残念ながら、私はこのような者なので、公の場に出ることはできません」
「そっか……」
「ですが、お兄様は何があっても、あなた方の側にいると言ってました。安心して、今宵のパーティーを楽しんでください」