マスカレードに誘われて
そして何故か少し悲しそうな顔をして、イヴに囁く。
「しかし、運命には逆らえないもの。これ程言っても、結果は変わらないでしょう」
「え……?」
「イヴ様、今宵は片時もロイ様から離れぬようお願いします」
予言とも思われるような発言。
イヴの背中に、嫌な汗が流れる。
「それと誰かを信じる心、それさえ忘れなければ必ずあなた方は救われます」
「……」
「イヴ様」
エリカはイヴの前に立つと跪き、その手を取った。
キースと同じ、紫色の瞳がイヴの目に写る。
「今宵、あなた方は大変な思いをされることでしょう。
ですが、どうか――いえ、絶対に生き延びてくださいまし」
不吉な言葉を聞いたイヴが白くなる。
そんな彼女に、エリカは優しく微笑んだ。