マスカレードに誘われて
深いため息をつき、彼は頭を抱える。
そんな彼を見たイヴは、小さく笑った。
「いい顔はされなくとも、せめて今夜くらい楽しみましょう」
「そうだな!」
ロイが楽しそうに笑う。
仮面の奥の目が、嬉しそうに細くなった。
ホールに流れている音楽が変わる。
人々は手を取り合い、踊り始めた。
彼らを傍観していたロイが、ふと口を開いた。
「あのさ、僕らも踊らない?」
「え?」
イヴが困ったように彼を見る。
「僕らは表立った行動ができないんだろう?だったら、二人で踊るしかないんじゃないかな?」
「で、でも……わたし、ダンスなんて踊れない!」
「大丈夫。僕が助けてあげるから」