マスカレードに誘われて

イヴの問い掛けに、ロイが頷く。
そして、彼はキースから聞いたことを話し始めた。

「今夜は、何があっても地下室には行くなって言われたよ」

「地下室?」

「あぁ。と言うより、そこに近付くな。地下室の扉は開けるなって」

「そうなんだ……」

「まぁ、普通に過ごしていれば関係の無い話だけどね」

ロイが軽く笑う。
対してイヴは、神妙に頷いただけだった。

風が強くなってきた。
二人の髪を結んでいる、紫色のリボンが靡く。

「おやおや、本日の主役が何でこんなところにいるのかね?」

後ろから掛けられた声。
二人は勢いよく振り向いた。

「驚かしてしまったようだね。すまない」

そう言って、男は申し訳なさそうに笑った。

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