マスカレードに誘われて

「深い紫色の雲が月を覆い隠す」

誰もいない回廊に、少女の声が響く。
彼女は不敵に笑いながら、目の前にある湖を見据える。
そして、少女は次々に言葉を紡いだ。

「真実は仮面の下に」

双子は不安そうな表情で、辺りを見回す。

「偽りを纏い、夜を楽しむ人々」

ホールの中では、誰が悪魔の子だろうと予想している。

「時計の針が、12を指すとき」

ホールにある柱時計が時を告げた。

「招かれざる客がやって来る」

その途端、ホール内の照明が一斉に消えた。

慌てふためく人々。
側に控えていた使用人達が、消された蝋燭に火を灯す。

手の届かないシャンデリアだけは、どうすることもできなかった。

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