マスカレードに誘われて
ほの暗いホール。
先程より、不気味さが増している。
「君達、お願いしたいことがあるんだけどいいかい?」
グランド公が二人の肩を叩く。
イヴは驚いたようにはね上がり、ロイは彼の方を向いた。
「何でしょうか?」
「実は、地下室に忘れ物をしてきてしまったんだ」
「地下室に……?」
ロイが怪訝そうな表情をする。
グランド公は慌てたように弁明した。
「いや、違うんだ。ジェームズに、もしもこのような事があったら、地下室にある十字架を持ってくるように頼まれたんだ」
「もしかして……」
「うん。対悪魔用に。
私はあまり認めたくないが、君達が世間一般で言う、悪魔の子には変わり無いからね」
「……」