マスカレードに誘われて

自分の胸を叩き、その旨を表す。
グランド公は安心したように溜め息をついた。

「よろしく頼むよ」

「はい!」

「だが、くれぐれも無茶はしないように。言い伝えとはいえ、ハロウィンには悪魔や魔物が降りてくると言われている」

「大丈夫です。身の危険を感じたら、すぐに引き返しますから」

ロイの目を見て、グランド公は力強く頷く。

「じゃあ、行っておいで」

グランド公に促され、ホールを出る。
二人のすぐ後ろで、扉が閉まる音がした。

「何か追い出された気がする……」

「勘違いよ、ロイ。行きましょう」

イヴに急かされ、不服そうな顔をしながらもロイは足を進めた。

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