マスカレードに誘われて
「加勢しようかな、って思って」
「大丈夫よ。心配ないわ、兄様」
声の主――キースは彼女の言葉を聞くなり、顔を曇らせた。
「それでも、やはり不安だ。毎年やってるとはいえ……」
「何言ってるの?」
信じられないと言わんばかりの顔を、キースに向ける。
彼は言葉に詰まり、口を閉じた。
「物心ついたときから、毎年やってるんだもの。今更そんなこと言われても、調子が狂うだけだわ」
「それにしても、今年は状況が違う!万が一、君の姿を誰かに見られたら……」
「そうしたら、それまでね。私は死ぬわ」
「……」
キースの表情が暗くなっていく。
対して、エリカは明るく笑った。