マスカレードに誘われて
エリカを見つめ、キースが告げる。
先程とは違う、覚悟を決めたような目。
彼女はそれに驚きながらも、頬を緩めた。
「勿論!ヘマをするつもりは無いわ」
「そう言ってもらえると安心するよ」
彼は優しく微笑むと、彼女に近付く。
そして懐から紫色の石が付いた首飾りを取り出すと、それを彼女の首に掛けた。
「お母様に頼んで、魔法を掛けてもらった。気休めにしかならないだろうけど、身を守ってくれるだろう」
「兄様……」
「正直、君が今生きていることが奇跡に近いけど……今宵も頑張って生き延びてくれ」
「……分かったわ」
エリカは一瞬悲しそうな目をすると、そのままキースに抱き着いた。
彼もそれを受け止めてくれる。